紅茶に塩を入れると、おいしくなる。アメリカの化学者が発表した「完璧な紅茶のレシピ」にイギリスが猛反発。政府を巻き込む大論争に発展しているようです。
■米大学教授「塩に含まれるナトリウムイオンが苦みを感じさせないように働く」
アメリカ・ブリンマー大学のフランクル教授。何百もの研究論文と古文書を分析し、化学者の視点で「完璧な紅茶のレシピ」を考案しました。ポイントは"ひとつまみの塩"です。
ブリンマー大学・フランクル教授
「ほんの少し入れるのよ。塩に含まれるナトリウムイオンが苦みを感じさせないように働くの」
塩を入れることで紅茶の苦みを抑えられるというのですが…
記者
「塩味もあまり感じず、たしかに苦みが取れたような味わいをしている」
このレシピに敏感に反応したのが紅茶の国・イギリスです。多くの人が、伝統的な入れ方で紅茶を飲むことにこだわりをもっています。
「とんでもないアイデアだわ。アメリカ人はおいしい紅茶の入れ方を知らないのです」
「(苦いのは)間違った紅茶を買っているからだよ。(レシピを)試す必要はない。まずいのは分かっています」
これに、ロンドンにあるアメリカ大使館がSNSで釈明。
「イギリスの国民的飲み物に塩を加えるというあり得ない考えは、アメリカの公式見解ではない」
ただ、最後にはこんな一言も。
「これからも正しい方法で紅茶をいれ続けます、電子レンジで」
すると、今度はイギリスの内閣府が反論。
「やかんを使わないと紅茶は入れられません」
湯を沸かすのは「やかん」か「電子レンジ」か。さらなる論争に発展したのです。
アメリカの人たちは…
「そうよ。普段からマグカップに水を入れて電子レンジで温めるわ」
「1番簡単よね」
「妻が電子レンジ大好きで、うちの料理はなんでも電子レンジを使うんだ。急いでいる時は手早く。ぼくはゆっくり、のんびりやるのが好きなんだけど」
考案したレシピから"紅茶の飲み方論争"が巻き起こったことに、フランクル教授は予想外だと驚きつつも、歓迎しています。
ブリンマー大学・フランクル教授
「化学者としては嬉しいです。塩を入れてみたり、お湯の温度が適切か確かめたり、皆さんが実験できるような形で化学がニュースになるのは素敵です」
緊密な同盟関係にあるアメリカとイギリスですが、紅茶文化については相容れることは難しそうです。
■紅茶に塩!? イギリスvsアメリカ「完璧な紅茶のレシピ」で大論争
良原安美キャスター:
どうしてここまでイギリスの人たちは反発するのでしょうか。
英国紅茶研究家 藤枝理子さん
「イギリス人は伝統やマナーを重んじる国民性。紅茶文化は日本の茶道のようなもの。紅茶に対するこだわりが強い人が多い」
イギリスでは「アイスティー」「レモンティー」は基本的にNG。「ストレート・ミルクティーのみ」で楽しむのが伝統的とされています。 “紅茶のお供”スコーンにもこだわりがあり、先に塗るのがバターかジャムかで論争が起きるぐらい大切な文化なんですね。
英国紅茶研究家 藤枝理子さん
「(イギリス人は)紅茶愛が強いので、“塩なんて”という人も多いのでは」
■食文化に関する“論争” 日本でも…
こうした食文化に関する論争は日本でも起こっていました。
2006年、世界で日本食が広まってアレンジされていく中で、いわゆる“ニセ日本食”を取り締まるために農林水産省が「日本食レストラン認証制度」を検討しました。これには国内外から批判があったということで、これまで行われていません。
海外で“進化”した日本食としては、アメリカのカリフォルニアロールがあります。さらに台湾では砂糖を入れた味噌汁が親しまれ、フィンランドではイチゴやバナナ、フルーツをお寿司に乗せるアレンジもされているようです。
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